こういう女はやめとけ
竹中英人ブログ。旧「間違いだらけの男女関係−で、お前は何をしてくれるんだ?」。男性にはパートナー選びに失敗しないための指針書として。女性には男心を知るためのモテマニュアルとして。こういう女(になるの)はやめとけ!
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牛窪恵(2008)『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』講談社+α新書
森岡正博(2008)『草食系男子の恋愛学』メディアファクトリー

草食系男子」なる言葉がメディアに出現するようになって久しい。
筆者は正直、くだらない言葉だと思っているが、良くも悪くもこの言葉は世の中に広まってしまったので、無視できない。
まあ今年の流行語大賞か何かに選ばれるんだろうね。

日本社会の新現象として、CNN等外国メディアにも紹介された。

Japan's 'herbivore men' -- less interested in sex, money
http://edition.cnn.com/2009/WORLD/asiapcf/06/05/japan.herbivore.men/index.html


草食系男子とは、牛窪(2008)によると以下のような特徴をもつ。

外見はスリムで少食、コスメへの関心も高い。締まり屋で、ムダ遣いをしない。
出世や仕事への情熱が低く、恋愛・セックスにガツガツしていない。
ラブホテルに女と泊まっても何もしないくらい紳士的であるが、同時に、自分から積極的に女にアプローチしない、告白もしない受身である。デートははじめてのデートからワリカン主義で、セックスにも淡白、というより、あまり女にセックスを求めない。しかし性欲はあるので、結果オナニー好きである。
プロポーズにも消極的で、結婚後は共働きを望んでいる。

ただ、論者によっては、草食系男子もいくつかのタイプに分類できるらしく、その中には仕事熱心で高収入の男もいるらしい。
本ブログは男女関係を扱うブログなので、以下、外見や仕事についてのスタンスはとりあえず気にせず、異性関係において上記の特徴が当てはまる者が「草食系男子」と呼ばれているという前提で話を進めていく。


 それでもプロポーズはお願い!

女たちの反応だが、草食系男子を受け入れている向きもある。

「奢られたりエスコートされて、ヘンな借りを作るのはイヤ。最初からワリカンのほうが気がラク」
「けっこう好きなタイプかも。一緒にいても安心できる」
「なんか浮気とかも出来なさそうだから好きです」
浮気は関係ないけどね。受身の女だって浮気はするんだから。


ただし、男の「草食化」を受け入れている女たちにとっても、プロポーズは男の役割だという認識があり、「男らしく」プロポーズしてくれることを期待している。

「興味深いのは、“草食系”を受け入れているはずの20代女性でも9割くらいの人は“プロポーズは男性から”と思っているというデータ。いろいろな面で男女が同じようになってきているけれど、プロポーズは最後の砦として残っているんですよね」(森岡正博。牛窪恵との対談より)
http://xbrand.yahoo.co.jp/magazine/dime/2035/6.html

そのため、本ブログでも批判的に取り上げたが、女性誌の特集も、いかに女が男に告白・プロポーズさせるか、というものが増えているという。(牛窪、2008)


 想定の範囲内の現象

このような男たちの変化は、私に言わせれば、ごく当たり前のことだ。

恋愛における男女不平等とその原因』でも指摘したとおり、もともと、異性間の距離を縮めるアプローチの役割は、性別役割分担によるギブ・アンド・テイクが成り立たないものである。つまり、仮に男が性別役割分担によりアプローチ役を担当したとして、そうなると男だけがコストを負担することになるわけだが、それに見合う、ギブ・アンド・テイクとして男のコストを相殺しうる女ならではのタスクというものは存在しない。なので、異性との距離を縮める役割は、男女双方が分担していかないと、役割が片務的になり、男女不平等が発生してしまう。

これは告白・プロポーズに関わらず、交際中の費用負担についても同じである。結婚後、男が賃金労働、女が家事労働をそれぞれ専業で担当し、女の生活費について男が責任をもつような、明確なギブ・アンド・テイクが存在しないからである。
「奢ってほしい、高価なプレゼントがほしい」というのなら、「女よ、で、お前は何をしてくれるんだ?」というわけだ。

「男らしさ」というサービスをギブしたとして、その報酬として、男「だけ」が受け取れる女からのサービスがテイクできなければ、男役割を負担するのがバカバカしくなるのは当然である。
男らしさは、タダじゃないのだ。


男たちは、もちろんこのような不平等にはかなり前から気付いていたが、これまでは「男らしさ」の呪縛のせいで、たとえ理不尽だと感じ納得がいかなくても、その役割を引き受けるしかなかった。

が、時代は変わった。というより、男は変わった。

男たちはようやく、ギブ・アンド・テイクが成り立たない、片務的な性役割に対し、明確にノーの意思表示をし始めた。つまりこのような男の変化は、あくまで、不均衡是正に向けた男たちの態度の変化ととらえるべきである。


要するに、単に理不尽な性役割を男が拒否しているだけのことなのだ。
それなのに、「草食系」などという、あたかも本能レベルで男の性質が変わってしまったかのような言い方をするのはいかにも騒ぎすぎだ。
筆者がこの流行り言葉をばかばかしいと感じる理由もそこにある。新種の生物扱いされないと、男性差別への無言の抗議も許されないんですか?


 これまでとは違う世間の反応

今回の現象がこれまでと大きく違うのは、世の中の言説にも、男の変化の正当性を認めるような?少なくとも変化を非難せず受け入れるようなものが見られることだ。

「(草食系男子は)自分から会話に入ってくることはほとんどないので、そういった席では女の子から積極的に声をかけて」
「自分と結婚すればこんな素敵な家族が作れる、という明るい未来像を想像させるような態度を取るべし」
(草食系男子の扱い方5ヵ条)
http://feature.tv.jp.msn.com/special_soushoku0902/manual.htm
特に後者については、これまで恋愛・結婚において「結婚して、○○して、△△して」と、受身というより、欲しがるだけで自らは与えようとしなかった「お願いされる立場」の女たちの劇的な変化といえる。

「肉食系男子は、じらしたり、逃げたりするふりをすると、猛然と追ってきてくれます。それがこれまで女性誌が推奨してきたやり方でした。ですが、草食系男子には、そういうテクニックは通用しません。草食系男子には、言葉ではっきりと好意を伝えて、それに反応してくるまでじっと待たなければなりません。もし、じらしたり、逃げるふりをすると、彼はあなたが本当に興味を失って離れていくんだなと思い、その後をわざわざ追おうとはしません。(中略)草食系男子に対しては、女性のほうから常にはっきりとした意思表示をしないといけません」
「これまでの男性は恋愛において、女性の顔色をうかがい、献身的に貢いだり、女性の態度にじらされても断わられても再度悲壮なアタックを繰り返してきました。これからの女性は、こういう役割を担うことになるでしょう」
「基本的に、男子のほうがいま変わってきているので、それに対応して、女子のほうも変わっていかないといけない時代になったのではないかと思います。恋愛において、失敗の責任を自分で引き受けられる女性(自分から誘って断わられるリスクを受け入れる態度など)や、常に受け身で恋愛の果実を味わおうとする態度を捨てる女性が、これから求められてくるのではないでしょうか」
(急増中!今どき草食系男子攻略法、森岡正博氏の回答)
http://xbrand.yahoo.co.jp/magazine/numero/2787/2.html


少し前なら、このような現象は「男の劣化、ダメ化」として語られ、いかに男に男らしさを取り戻させるか、というのが解決策として論じられていた。
それに比べると、世の中の男性差別も少しずつ解消されてきているのかな、と感じる。
いい傾向だ。


 この流れは止まらない

このような男の変化に対し、当然、不満に思う女も少なくない。

「受身で人生なんとかなると思ったら大間違い。イライラする」
「やっぱり求めて欲しいじゃん」
「頼れるのが男の魅力。草食系を見ていると何となく心配になる」

そして、女の要求どおり「男らしく」振舞う男というのももちろん存在する。


それも踏まえても、やはり『SAPIO』4月22日号で書いたとおり(http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20090504-01/1.htm)、将来的には女だけではなく、男も役割から解放され、男女がよりフラットな関係になっていくと考える。

理由その1:「男らしい男」もやがて解放される

「男が社会の・女の要求どおり男らしく振舞ってやることは当たり前ではない、少なくともタダではない」という自明のアイディアを堂々と実践に移す男たちが増えつつある。
となると、今男らしくしている男たちも、当然「自分は、これでいいのかな?」と疑問を持つはずである。

理由その2:女も「依存派」は敬遠され、「自立派」が選択されるようになる

選別されるのはなにも男ばかりではない。

草食系の男に合うのは、勇猛果敢に異性を捕まえる「肉食系」女だ、などと言われることがあるが(笑)、これもバカバカしい物言いだ。
要は、これまで男任せだったアプローチのタスクを、共同で行う必要がある、というだけのことなので、その程度の能動性を肉食などと呼ぶのはいかにも大げさである。

これからは、いろんな意味で男に頼ると同時に「頼られる」関係が普通になっていくだろう。少なくとも、男からは「頼りがいのある女」の需要は増す。もちろんこれは、男が一方的に女にもたれかかる、甘えるという意味ではなく、相互扶助的な関係を築ける女が求められる、ということだ。

依存派の女は、ますますパートナー探しが難しくなっていくだろう。
いい男がいない」ではなく、自分の中の「いい男」の定義を変える必要があるのだ。
これは究極的には、異性に望むもの・求めるものを、片務的で男性差別的なものから相互扶助的で平等なものへと変えることを意味する。

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